FSRS vs SM-2:Ankiのスケジューラはどちらを使うべき?
SM-2はどこから来たか
SM-2はPiotr Woźniakが1987年にSuperMemo向けに発表したアルゴリズムで、従来のAnkiのスケジューラはその系譜にあります。仕組みは単純:各カードが「ease係数」(初期値約2.5)を持ち、正解すれば次の間隔は前回×ease、「難しい」や失敗でeaseが下がります。
機能はします — 何十年分のAnkiユーザーがその証拠です。ただし既知の弱点があります:
- Ease地獄。 失敗のたびにeaseが下がり、回復は遅い。一度つまずいたカードは永遠に短い間隔に張り付き、不要な復習で毎日のキューが溢れます。
- 万人一律。 定数は1987年に手で調整されたもので、全員・全カード共通。あなた自身の忘却曲線は一切考慮されません。
- 保持率のダイヤルがない。 「このデッキを90%覚えていたい」とSM-2には言えません。間接的なつまみ(間隔係数など)を回して祈るだけです。
FSRSは何が違うか
FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler、Jarrett Ye らによるオープンソースプロジェクト)は、固定式を記憶のモデルに置き換えます。各カードは3つの量(DSRモデル)で追跡されます:
- Difficulty(難易度) — そのカードがあなたにとってどれだけ難しいか
- Stability(安定性) — 記憶が現在どれくらい持続するか
- Retrievability(想起可能性) — 今この瞬間に思い出せる確率
パラメータは手調整の定数ではなく、あなた自身の復習履歴に適合されます。そして間接的なつまみの代わりに、本当に関心のある値 — 目標保持率(例:0.90)— を直接設定すると、FSRSは各カードを「想起確率がその値を下回る直前」に復習させます。
実用上の帰結は2つ:
- 無駄な復習が減る。 よく覚えているカードはSM-2より大胆に先送りされ、本当に難しいカードは早めに戻ってくる。数億件の実レビューで走らせたオープンな srs-benchmark では、FSRS系がSM-2より一貫して高精度に想起を予測します — その予測精度こそが、節約される復習に変わるものです。
- Ease地獄がない。 失敗は安定性と難易度を合理的に更新するだけで、カードを永久に罰しません。
正直な注意点
- FSRSは適合対象の履歴の質に依存します。レビューが極端に少ない間は集団レベルの初期値から始まります(それでも大規模データで適合済みなので十分実用的)。
- 間隔を手動で上書きし続けたり、「難しい」を「失敗」の意味で使ったりすると、モデルはノイズから学びます。正直に採点を。
- SM-2が「壊れている」わけではありません。ルーチンが安定していて負荷にも不満がないなら、切り替えは救済ではなく最適化です。
進捗を失わずに切り替える
デスクトップAnki(23.10以降):デッキオプション → FSRSを有効化 → 目標保持率を設定(0.85〜0.95が妥当な範囲。高いほど復習は増える)→「最適化」で履歴にパラメータを適合。カード・履歴・メディアはそのまま、変わるのは今後のスケジュールだけです。
iPhoneでは:Guru は最初からFSRSです。インポートしたデッキ(スケジュールを保った.apkg)は既存の状態から継続し、AIで生成した新しいデッキ(PDFから直接)も1枚目からFSRSでスケジュールされます。探すべきトグルはありません。
目標保持率の選び方
- 0.90 — 標準のおすすめ。負荷と保持のバランス型。
- 0.95 — 数週間後に試験があり、失敗が高くつく場合。毎日のキューは目に見えて増えます。
- 0.85 — 語学や一般知識など長期戦の蓄積型。1枚の取りこぼしより総量が大事な場合。
FSRSの本質は、このトレードオフがようやく明示的になったことです:あなたが保持率を選び、アルゴリズムがそれを維持する最小の復習コストを払います。